| 1 | 「はっきり言っておく。羊の囲いに入るのに、門を通らないでほかの所を乗り越えて来る者は、盗人であり、強盗である。 |
| 2 | 門から入る者が羊飼いである。 |
| 3 | 門番は羊飼いには門を開き、羊はその声を聞き分ける。羊飼いは自分の羊の名を呼んで連れ出す。 |
| 4 | 自分の羊をすべて連れ出すと、先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、ついて行く。 |
| 5 | しかし、ほかの者には決してついて行かず、逃げ去る。ほかの者たちの声を知らないからである。」 |
| 6 | イエスは、このたとえをファリサイ派の人々に話されたが、彼らはその話が何のことか分からなかった。 |
| 7 | イエスはまた言われた。「はっきり言っておく。わたしは羊の門である。 |
| 8 | わたしより前に来た者は皆、盗人であり、強盗である。しかし、羊は彼らの言うことを聞かなかった。 |
| 9 | わたしは門である。わたしを通って入る者は救われる。その人は、門を出入りして牧草を見つける。 |
| 10 | 盗人が来るのは、盗んだり、屠ったり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしが来たのは、羊が命を受けるため、しかも豊かに受けるためである。 |
| 11 | わたしは良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる。 |
| 12 | 羊飼いでなく、自分の羊を持たない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして逃げる。――狼は羊を奪い、また追い散らす。―― |
| 13 | 彼は雇い人で、羊のことを心にかけていないからである。 |
| 14 | わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。 |
| 15 | それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。わたしは羊のために命を捨てる。 |
| 16 | わたしには、この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊をも導かなければならない。その羊もわたしの声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる。 |
| 17 | わたしは命を、再び受けるために、捨てる。それゆえ、父はわたしを愛してくださる。 |
| 18 | だれもわたしから命を奪い取ることはできない。わたしは自分でそれを捨てる。わたしは命を捨てることもでき、それを再び受けることもできる。これは、わたしが父から受けた掟である。」 |
| 19 | この話をめぐって、ユダヤ人たちの間にまた対立が生じた。 |
| 20 | 多くのユダヤ人は言った。「彼は悪霊に取りつかれて、気が変になっている。なぜ、あなたたちは彼の言うことに耳を貸すのか。」 |
| 21 | ほかの者たちは言った。「悪霊に取りつかれた者は、こういうことは言えない。悪霊に盲人の目が開けられようか。」 |
| 22 | そのころ、エルサレムで神殿奉献記念祭が行われた。冬であった。 |
| 23 | イエスは、神殿の境内でソロモンの回廊を歩いておられた。 |
| 24 | すると、ユダヤ人たちがイエスを取り囲んで言った。「いつまで、わたしたちに気をもませるのか。もしメシアなら、はっきりそう言いなさい。」 |
| 25 | イエスは答えられた。「わたしは言ったが、あなたたちは信じない。わたしが父の名によって行う業が、わたしについて証しをしている。 |
| 26 | しかし、あなたたちは信じない。わたしの羊ではないからである。 |
| 27 | わたしの羊はわたしの声を聞き分ける。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしに従う。 |
| 28 | わたしは彼らに永遠の命を与える。彼らは決して滅びず、だれも彼らをわたしの手から奪うことはできない。 |
| 29 | わたしの父がわたしにくださったものは、すべてのものより偉大であり、だれも父の手から奪うことはできない。 |
| 30 | わたしと父とは一つである。」 |
| 31 | ユダヤ人たちは、イエスを石で打ち殺そうとして、また石を取り上げた。 |
| 32 | すると、イエスは言われた。「わたしは、父が与えてくださった多くの善い業をあなたたちに示した。その中のどの業のために、石で打ち殺そうとするのか。」 |
| 33 | ユダヤ人たちは答えた。「善い業のことで、石で打ち殺すのではない。神を冒瀆したからだ。あなたは、人間なのに、自分を神としているからだ。」 |
| 34 | そこで、イエスは言われた。「あなたたちの律法に、『わたしは言う。あなたたちは神々である』と書いてあるではないか。 |
| 35 | 神の言葉を受けた人たちが、『神々』と言われている。そして、聖書が廃れることはありえない。 |
| 36 | それなら、父から聖なる者とされて世に遣わされたわたしが、『わたしは神の子である』と言ったからとて、どうして『神を冒瀆している』と言うのか。 |
| 37 | もし、わたしが父の業を行っていないのであれば、わたしを信じなくてもよい。 |
| 38 | しかし、行っているのであれば、わたしを信じなくても、その業を信じなさい。そうすれば、父がわたしの内におられ、わたしが父の内にいることを、あなたたちは知り、また悟るだろう。」 |
| 39 | そこで、ユダヤ人たちはまたイエスを捕らえようとしたが、イエスは彼らの手を逃れて、去って行かれた。 |
| 40 | イエスは、再びヨルダンの向こう側、ヨハネが最初に洗礼を授けていた所に行って、そこに滞在された。 |
| 41 | 多くの人がイエスのもとに来て言った。「ヨハネは何のしるしも行わなかったが、彼がこの方について話したことは、すべて本当だった。」 |
| 42 | そこでは、多くの人がイエスを信じた。 |