| 1 | 天使は言った。「地の創造の初め、世界の門が建てられる前、風が集って吹く以前、 | 
| 2 | 雷鳴がとどろき稲妻がひらめく前、楽園の基がまだ固められず | 
| 3 | 美しい花も見られぬ前、星の運行も定まらず数知れぬ天使の軍勢が集結される前、 | 
| 4 | 空の高い所はまだ引き上げられず大空の区分も名付けられぬ前、まだシオンは神の足台とされず | 
| 5 | 今の年月が測られる以前、そして、今罪を犯している者たちのはかりごとがまだ退けられず、信仰の宝を積む者たちが印を受ける以前に、 | 
| 6 | わたしはこれらのことを考案し、これらすべては成った。他の者によってではなく、わたしによってなされたのである。そして、終わりもまた、他の者によってではなく、わたしによって来るのである。」 | 
| 7 | そこでわたしは答えた。「時の区分はどのようになるのですか。いつ前の時が終わり、いつ次の時が始まるのですか。」 | 
| 8 | 天使は言った。「アブラハムに始まりアブラハムで終わる。なぜなら、ヤコブもエサウも彼の子孫であり、ヤコブの手は、初めからエサウのかかとをつかんでいたのである。 | 
| 9 | この時代の終わりはエサウであり、次の時代の始まりはヤコブである。 | 
| 10 | 実に人の終わりはかかとであり、人の初めは手である。エズラよ、手とかかとの間に、隔たりを求めるな。」 | 
| 11 | わたしは答えた。「統べ治められる方、主よ、もし御好意にあずかっているのでしたら、 | 
| 12 | あなたが先日の夜、この僕に一部示してくださったあのしるしの結末をお示しください。」 | 
| 13 | 天使は答えた。「自分の足でしっかりと立ち、鳴り渡る声を聞きなさい。 | 
| 14 | あなたの立っている場所が大きく揺れ動いて言葉が下るが、恐れてはならない。 | 
| 15 | それは終末についての言葉である。大地の基は、 | 
| 16 | それが自分についての言葉であることを悟り、震えおののくであろう。大地の基は、終末に自分が変わらねばならぬことを知っているからである。」 | 
| 17 | わたしはこれを聞いてから、足を踏みしめて立ち、耳を傾けた。すると、語りかける声があった。その響きは、大水の響きのようであった。 | 
| 18 | その声は言った。「見よ、その日がやって来る。わたしが地に住む人々を訪れようと近づく時である。 | 
| 19 | それは不義によって害を及ぼした者どもの追及を始める時であり、シオンの屈辱が終わる時である。 | 
| 20 | そして、過ぎ去っていく世が封印されるとき、わたしは次のしるしを行おう。巻物が大空いっぱいに開かれ、すべての者が同時にこれを見るであろう。 | 
| 21 | そして、一歳の幼児が自分で声を出して話し、妊婦は三、四か月の未熟児を産むが、その子たちは生きて跳ね回る。 | 
| 22 | 種の蒔かれた畑は、たちまちにして荒れ地となり、満ちた倉は時を経ずして空になる。 | 
| 23 | ラッパが鳴り響き、人は皆これを聞いて、たちまち恐怖に襲われるであろう。 | 
| 24 | そのとき、友は友を敵に回していがみ合い、大地とそこに住む人々とは共に驚き、泉の水脈は詰まり、三時間の間流れを止める。 | 
| 25 | わたしがあなたに予告したこれらすべてを免れた人々は皆救われ、わたしの救いと、世の終わりとを見るだろう。 | 
| 26 | そして、彼らは、生涯死を味わうことなく天に受け入れられた人々を見るだろう。そして地に住む人々の心は変えられて、新しい感覚を身に付ける。 | 
| 27 | 悪はぬぐい去られ、欺きは消え去るからである。 | 
| 28 | そして信仰が花開き、腐敗は克服され、長い間実らなかった真理が明らかになるだろう。」 | 
| 29 | この声がわたしに語りかけている間に、見よ、わたしが立っている場所が徐々に動きだした。 | 
| 30 | 天使は言った。「わたしが今夜あなたに示そうとして来たことはこのことである。 | 
| 31 | だからもし、あなたが再び祈り、再び七日間断食を行うなら、今度は日中に更に大いなることを告げよう。 | 
| 32 | あなたの声がいと高き方に確かに達したからである。力ある神は、あなたの正しさを見て、あなたが若いときから守ってきた貞節を顧みられたからである。 | 
| 33 | それゆえ神はわたしを遣わしてこれらすべてをあなたに示し、こう言われるのである。『信頼せよ。恐れるな。 | 
| 34 | 今の時代に焦ってむなしいことを考えるな。そうすれば終末の時が来ても慌てることはない』と。」 | 
| 35 | この後、わたしは泣きながら、以前と同じように七日間の断食を行った。言われたとおり三週間続けるつもりだった。 | 
| 36 | ところが八日目の夜、わたしの心が再び落ち着かなくなり、わたしはいと高き方の前で話し始めた。 | 
| 37 | わたしの霊は激しく燃え、魂は不安であった。 | 
| 38 | わたしは言った。「ああ、主よ、あなたは創造の初め、第一日目に、『天と地は成れ』とお命じになり、御言葉はその業を行いました。 | 
| 39 | そのとき霊が漂い、暗闇と静寂が辺りを覆った。人の声はまだ造られていませんでした。 | 
| 40 | そこであなたは、御業が明らかに現れるようにと、倉の中から光が出るようにお命じになりました。 | 
| 41 | 二日目に、あなたは再び大空の霊を造られ、その霊に、水を分けて境をつけ、その一部を上に退かせ、一部を下にとどまらせるようにと命じられました。 | 
| 42 | 三日目にあなたは、水に、地の第七の部分へ集まるように命じられ、他の六つの部分は乾かして、種を蒔き耕す用地として、御自分の前に確保されました。 | 
| 43 | 御言葉が発せられると、直ちに御業は行われました。 | 
| 44 | おびただしい数の、しかも食欲をそそる様々な味の果実や、たぐいなく美しい色の花が直ちに生え出て、究め難い香りが漂いだしました。これが、三日目に起こったことでした。 | 
| 45 | 四日目に、あなたは命令を下して、太陽が輝き、月が光るようにされ、星の位置を定められました。 | 
| 46 | そして、やがて造られる人に仕えるよう、それらにお命じになりました。 | 
| 47 | 五日目にあなたは、水が集まっている第七の部分に、生き物や鳥や魚を生み出すように命じられました。すると、そのとおりになりました。 | 
| 48 | 声もなく、生命もない水が、お命じになった生き物を造ったのです。それは、諸国の民にあなたの不思議な業をたたえさせるためでした。 | 
| 49 | それからあなたは、二つの生き物をえり分けられ、その一つをベヘモット、もう一つをレビヤタンと名付けられました。 | 
| 50 | そしてあなたは、両者を互いに引き離されました。水が集まっている第七の部分に両者を置くことができなかったからです。 | 
| 51 | そしてベヘモットには三日目に乾いた土地の一部を与え、そこに住むようにされました。そこは一千の山のある土地でした。 | 
| 52 | レビヤタンには水のある第七の部分をお与えになりました。あなたはこの二つを保存し、あなたのお望みのとき、お望みの人々に食べさせるようにされました。 | 
| 53 | 六日目にあなたは陸にお命じになり、御前に家畜と獣と這うものを造らせ、 | 
| 54 | その上にアダムを造らせました。そしてあなたは彼を、お造りになったすべての被造物の頭とされました。あなたが民としてお選びになったわたしたちは皆、このアダムから生まれ出たのです。 | 
| 55 | 主よ、わたしがあなたの前でこれらのことをすべて語ったのは、最初の創造として世をお造りになったのは、わたしたちのためだ、とあなたが言われたからです。 | 
| 56 | また、あなたは、アダムから生まれたほかの諸民族は無に等しい、と言われ、彼らは唾のようなもので、その数がいかに多くても器からこぼれる一滴にすぎないと言われたのです。 | 
| 57 | しかし、主よ、この何者でもないとされた諸民族が、今、わたしたちを支配し、呑み尽くそうとしております。 | 
| 58 | わたしたちは、あなたが初子、独り子、いとしい者、最愛な者と呼ばれたあなたの民であるのに、諸民族の手に渡されています。 | 
| 59 | もし、世がわたしたちのために造られたのなら、どうしてわたしたちが自分たちの世を相続できないのでしょうか。このようなことがいつまで続くのでしょうか。」 | 
